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【難関といわれ続けてきたネットワークスペシャリスト試験!】

2016年12月22日

 NW試験は、数ある情報処理技術者試験の中でも、長い歴史をもつ試験の一つです。

 その前身は、1988年(昭和63年)から開始されたオンライン情報処理技術者試験が該当します。このオンライン試験は、試験制度の変更に伴い、1994年(平成6年)にネットワークスペシャリスト試験という名称に変更されましたが、昭和63年から平成5年までの6年間におけるオンライン試験の平均合格率は、4.9%にすぎませんでした。

 その後、ネットワークスペシャリスト試験は、2001年(平成13年)にテクニカルエンジニアリング(ネットワーク)試験という名称に変更されました。平成6年から平成12年までの7年間における平均合格率も6.1%にすぎません。さらに、2009年(平成21年)には、再びネットワークスペシャリスト試験という名称に戻されましたが、平成13年から平成20年までの平均合格率は8.9%でした。現在では、合格率は概ね14%前後で推移していますので、平成20年までの合格率は、現在の合格率に比べると、極めて低かったことがよく分かります。こうした背景から、難関といわれ続けたのです。

 また、1990年代後半からインターネットの利用が拡大してきたことなどから、NW試験は大変注目される試験になり、2000年(平成12年)秋の試験では、7万人を超える応募者を集めました。その一方、2001年秋からは、情報セキュリティアドミニストレータ試験が開始されたことなどから、NW試験の応募者は徐々に減少し、2015年秋の応募者は、ついに2万人を割れることになりました。それでもなお、プロフェッショナル試験に位置付けられている高度情報処理技術者試験の中では、情報セキュリティスペシャリスト試験に次いで、応募者の多い試験です。

 次に、NW試験における出題テーマや特徴などについて、みていきましょう。ネットワークは、インターネットの黎明期から年々、新しい技術を取り入れながら発展してきています。このため、NW試験では、これらの新技術などを順次、取り入れながら出題される傾向が見られます。例えば、平成25年秋にはVXLANやOpenFlowに代表されるSDN(※1)、平成26年秋には標的型メール攻撃の対策、平成27年秋にはNAT444やIPv4マルチキャスト通信(※2)などの問題が出題されています。このため、試験対策としては、新技術の対策に偏ってしまう傾向が見られます。しかし、インターネットの土台は、TCP/IP(※3)をはじめ、DNSや電子メールの仕組み、Webアクセスの中核をなすHTTPなどですから、これらの基本的な技術を十分にマスタしておくことが必要です。また、最近では、ネットワークセキュリティ分野の重要性が高まっていますので、この分野にも注力していく必要があります。さらに、NW試験は、忘れたころに出題されるという特徴もあります。例えば、SIPに関連する問題は、平成23年秋を最後にしばらく出題されませんでしたが、3年後の平成26年秋に出題されました。

 以上のようなことを総合的に判断すると、基本的な技術知識を十分に身に付けた上で、新しい技術に対する理解を深めていくことが必要です。こうした作業は、短期間で行うことは難しいので、学習計画をしっかり立てて地道に努力していくことが必要です。つまり、NW試験で合格する近道としては、特定の技術だけに注力するのではなく、幅広い分野の技術知識をしっかりと身に付けた上で、試験問題と真摯に向き合うことではないでしょうか。何度もNW試験にチャレンジし、やっと合格を勝ち取ったという受験者も多くいらっしゃいます。数回、受験しただけで諦めるのではなく、長年にわたって努力していくことが大切です。

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<注釈・解説>

※1:VXLAN
VXLAN(ブイエックスラン)は、Virtual eXtensible Local Area Networkの略で、データセンターなどの大規模ネットワーク上でレイヤー2(L2)のマルチテナント環境を柔軟に実現するための技術の一つ。主にサー バー仮想化環境での利用を想定する。

・OpenFlow
OpenFlowとは、通信ネットワークを構成するネットワーク機器を一つの制御装置で集中管理し、複雑な転送制御を行い、柔軟にネットワーク構成を変更できる技術。業界団体のOpen Networking Foundationによって標準仕様の策定が行われている。

・SDN
SDNとは、コンピュータネットワークを構成する通信機器を単一のソフトウェアによって集中的に制御し、ネットワークの構造や構成、設定などを柔軟に、動的に変更することを可能とする技術の総称。

※2:NAT444
「IPアドレス枯渇問題」の対策としてIPv4からIPv6へ移行が進められているが、この対応が遅れている中、IPv4を延命する方法として考え出されたキャリアグレードNAT(CGN)で使われるアドレスである。

・IPv4マルチキャスト通信
IPマルチキャストとは、インターネットなどのTCP/IPネットワーク上において、複数の相手に一斉に同じデータを送信する「マルチキャスト」を行なうためのIPの追加仕様のことである。

※3:TCP/IP
インターネットなどで標準的に用いられる通信プロトコル(通信手順)で、TCP(Transmission Control Protocol)とIP(Internet Protocol)を組み合わせたもの。また、TCPとIPを含む、インターネット標準のプロトコル群全体の総称。

引用・参照、Wikipedia・IT用語辞典

執筆者『長谷 和幸(ながたに かずゆき)氏』プロフィール

【略歴】
・1971年 日本電信電話公社に入社。
  DDXの開発、INS構想の普及・啓蒙。
  DIPS周辺装置の開発などに従事。
・1988年 NTTデータ通信株式会社へ転籍
  WAN、PC-LAN、インターネットなどの利用技術の開発を担当。
・1998年 NTTデータ通信株式会社を退社。
・1999年 株式会社アイテック 情報技術教育研究所 主席研究員

【主な著作】
・「ネットワーク技術」(株式会社アイテック)
・「ネットワークスペシャリスト予想問題集」 (株式会社アイテック)
・「徹底解説本試験問題集」 (株式会社アイテック)
・「ネットワーク記述式・事例解析の重点対策」(株式会社アイテック)など

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