【最新シラバス反映】データマネジメント試験とは?出題範囲・難易度・対策法
公開:2026年9月30日
2026年3月31日、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の見直し案を公表しました。その中で新設が示されたのが、主にビジネス部門でデータを扱う人を想定した「データマネジメント試験(仮称)」です。
さらに2026年8月31日には「データマネジメント試験(仮称)シラバス案Ver.0.1」が公表され、試験で求められる知識・技能がより具体的になりました。
この記事では、試験の位置づけや開始時期、対象者、難易度に加え、シラバス案Ver.0.1を踏まえた出題範囲と今からできる対策について解説します。
目次
データマネジメント試験とは
データマネジメント試験は、AI・データを効果的かつ効率的に利活用するために必要となる、データマネジメントの基本的な知識・技能を評価する新しい国家試験です。2027年度の実施開始を目指して、IPAが準備を進めています。
大きな特徴は、システムの構築・運用を担うIT専門家だけを対象とした試験ではないことです。営業、マーケティング、企画、管理部門、DX推進部門など、業務の中でデータを利用する幅広いビジネスパーソンが主な対象として想定されています。
IPAの試験体系では「ITパスポート試験の次のステップの試験」として位置づけられており、ITの基礎知識を身につけた人が、データの整備・管理・活用について一段深く学ぶための試験と考えると分かりやすいでしょう。
出典:IPA:「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」
データマネジメント試験が新設される背景
データマネジメント試験が新設される背景には、生成AIやBIツールをはじめとするデータ活用の急速な広がりがあります。
AIやデータ分析の技術が高度になっても、元となるデータの定義が統一されていなかったり、品質に問題があったり、利用ルールが整備されていなかったりすれば、期待した成果にはつながりません。AI・データ活用を進めるうえでは、「どのデータを、どのような状態で、誰が、どの目的で扱うのか」を組織として管理することが重要です。
これまで、こうしたデータの整備・管理はIT部門や専門人材に任せられることも少なくありませんでした。しかし、データを実際の業務で活用するのはビジネス部門です。データを使う側にも、データの意味や品質、管理方法、法令・倫理上の注意点を理解する力が求められるようになっています。
データマネジメント試験は、AI・データ活用に必要となる基礎力を、データを扱うすべてのビジネスパーソンが体系的に学び、その知識の有無を客観的に確認するための試験だと考えられます。
データマネジメント試験の基本情報

現時点でIPAから示されている試験の基本情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験区分 | データマネジメント試験(仮称) |
| 科目A | 48問 |
| 科目B | 12問 |
| 出題形式 | 科目A:多肢選択式(四肢択一) |
| 科目B:多肢選択式 | |
| 試験時間 | 120分(科目A・科目B合計) |
| 実施方式 | CBT方式を予定 |
| 実施開始 | 2027年度 夏~秋頃を予定 |
科目Aと科目Bを合わせて60問、120分の試験となる予定です。実施方式はITパスポート試験などと同様のCBT方式が想定されています。ただし、これらは現時点で示されている予定であり、正式な試験要綱・受験案内が公表された際には最新情報を確認する必要があります。
出典:IPA:「「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」
データマネジメント試験の対象者

データマネジメント試験は、データを専門に扱うエンジニアだけではなく、業務の中でデータを利用するビジネスパーソンを広く対象としています。例えば、次のような方と相性のよい試験です。
- 営業・マーケティングなど、顧客データや売上データを活用する担当者
- 経営企画・事業企画など、データをもとに意思決定を行う担当者
- DX推進・デジタル推進部門の担当者
- データを扱う業務部門の管理職・リーダー
- ITパスポート試験を取得し、次の学習テーマを探している人
現行のデータベーススペシャリスト試験のように、データベース技術の高度な専門性を評価する試験とは狙いが異なります。データマネジメント試験は、上記のような非IT専門職であるビジネスパーソンがデータを適切に扱うための知識・技能を評価する試験です。
データマネジメント試験を受けるメリット
データマネジメント試験の学習を通じて得られる大きなメリットは、データ活用の土台となる知識(データリテラシー)を体系的に整理できることです。
業務でデータを扱っていても、データ品質、メタデータ、データガバナンス、プライバシー、AI利用時の注意点などを体系立てて学ぶ機会は必ずしも多くありません。シラバスに沿って学習することで、自分が普段行っているデータ活用を、管理・品質・倫理・法令・分析といった複数の観点から見直せるようになります。
また、新設試験ならではのメリットとして、早い段階からデータマネジメントを学んでいることを示せる点も挙げられます。試験の認知が広がれば、データ活用に必要な知識を早期から身につけた人材として、社内外で評価される可能性があります。
データマネジメント試験の難易度
データマネジメント試験は、IPAから「ITパスポート試験の次のステップの試験」として位置づけられています。そのため、ITパスポート試験で扱う幅広いデジタル基礎知識を土台にしながら、データの整備・管理・活用について、より具体的な理解が必要になる試験といえます。
また前述のとおり科目B試験では業務場面を読み解き、データの管理ルールや品質上の課題を踏まえて適切な対応を判断する力が求められます。単純な知識習得に加えて実務的な判断力が必要になるため、ITパスポート試験よりも一歩踏み込んだ学習が必要になります。
2026年9月時点では本試験はまだ実施されておらず、合格率や合格者の傾向といった実績データはありません。そのため、具体的な難易度については今後の試験実施状況を確認する必要があります。
データマネジメント試験の出題範囲 シラバス案Ver.0.1を解説
2026年8月31日にIPAから「データマネジメント試験(仮称)シラバス案Ver.0.1」が公表されました。シラバスには、試験で求められる知識・技能の幅と深さ、学習目標、具体的な内容が整理されています。
ここでは、シラバス案で示された内容を、科目Aと科目Bに分けて見ていきます。
科目Aで問われる知識
科目Aでは次の内容が出題範囲として示されています。このうち大分類「データ・AIの利活用」が重点分野です。
| 分野区分 | 大分類 | 中分類 |
|---|---|---|
| 重点分野 | データ・AIの利活用 | データマネジメント |
| データ分析・データ利活用 | ||
| AI利活用 | ||
| その他分野 | デジタル技術 | データベース |
| セキュリティ | 情報セキュリティマネジメント | |
| 倫理・コンプライアンス | 情報倫理・AI倫理 | |
| ビジネス関連法規 | ||
| プライバシー関連法規 |
重点分野となる「データマネジメント」では、組織が保有するデータを正しく管理・維持し、必要な人が適切に利用できる状態をつくるための考え方が中心になります。データの定義や品質、責任の所在、利用ルールなどデータを継続的に管理していくための基本を理解することが重要です。
「データ分析・データ利活用」では、目的に応じてデータを選び、分析し、その結果を業務上の意思決定や改善につなげるための知識が求められます。分析手法を知っているだけでなく、「何のために分析するのか」「得られた結果をどう使うのか」というビジネス側の視点が重要です。
「AI利活用」では、識別AIや生成AI、AIエージェントの特徴や活用目的に加え、安全かつ適切に利用するための基本的な考え方が求められます。AIの仕組みだけでなく、業務での活用方法や、人間の関与・ガードレールなどの留意点を理解することが重要です。
また、その他分野として情報倫理・AI倫理、プライバシー関連法規なども含まれています。AI活用が広がる中で、データを安全かつ適切に利用するための倫理・法規も出題範囲に含まれています。
科目Bで問われる技能
科目Bでは、知識を覚えているかだけではなく、その知識を実際の業務場面で使えるかが問われます。現時点で示されている大項目と小項目の概要を抜粋・要約すると、次のとおりです。
| 大項目 | 小項目・概要 |
|---|---|
| 1. データの適切な取扱い | データの定義・整合性、利用目的やアクセス範囲、メタデータ、データ品質、AI活用時の留意事項、非構造化データの取扱いなど |
| 2. データ活用による意思決定,検証と改善 | 目的に沿ったデータの特定・選定、分析、分析結果の意思決定への反映、対応結果の検証と改善、プロセスの改善と得られた教訓の共有など |
| 3. データ活用の組織文化の醸成 | データ活用の意義の共有、関係者との協働、データを活用しやすい環境づくりなど |
| 4. データ活用の向上 | データ活用・デジタル技術の動向把握、PoCの企画・実施、結果の共有・提案など |
科目Bで重要なのは、「データマネジメントについて知っているか」ではなく、「その知識を使って、業務上どのように判断・対応するか」という点です。
科目A、科目Bの詳細はIPA「データマネジメント試験(仮称)シラバス案 Ver.0.1」をご確認ください。
※注意
2026年8月31日に公表されたものは「シラバス案Ver.0.1」です。出題範囲は具体化しましたが、正式決定前のため今後内容が変更される可能性があります。
IPAが公開しているサンプル問題
IPAは2026年6月22日に、データマネジメント試験の科目A・科目Bのサンプル問題を公開しています。
科目Aでは、データガバナンスやデータ品質など、データを適切に管理・活用するうえで必要となる基本的な考え方を問う問題が示されています。
一方、科目Bは、架空の企業・業務場面を設定した事例形式です。文章から状況や課題を読み取り、データの取扱いや改善方法について適切に判断し回答する形式です。単なる用語の暗記だけでは対応しにくい点が特徴です。
サンプル問題の内容についてはIPA「新試験制度のサンプル問題について」をご確認ください。
※注意
IPAはサンプル問題について、「イメージを共有するために作成・公表するものであり、実際の試験と同様の問題作成やチェックのプロセスを経たものではない」と明記しています。サンプル問題だけから本番の出題傾向を断定しないよう注意する必要があります。
データマネジメント試験の対策法 今からできる5つの学習方法
シラバス案Ver.0.1が公開されたことで、具体的な出題範囲を確認しながら試験対策を始められる段階になりました。ここでは、現時点で取り組みやすい5つの学習方法を紹介します。
1.シラバス案Ver.0.1で学習範囲の全体像を把握する
まずはIPAが公開しているシラバス案に目を通し、どの分野が対象になっているのかを把握しましょう。最初から細かな用語を一つずつ覚えるよりも、「データマネジメント」「分析・利活用」「AI」「法令・倫理」など、試験全体の構造を理解してから学習を進める方が効果的です。
2.重点分野を優先的に学習する
科目Aでは「データマネジメント」「データ分析・データ利活用」「AI利活用」が重点分野です。学習時間に限りがある場合は、この3分野を中心に理解を深めることが重要です。データ品質、データの定義、管理ルール、分析の目的、結果の活用などを、自分の業務と結び付けながら学ぶと理解しやすくなります。
3.用語だけでなく「目的」と「使い方」まで理解する
シラバスに登場する用語については、意味だけを覚えるのではなく「なぜ必要なのか」「どのような場面で利用するのか」まで確認しましょう。例えばデータ品質であれば、品質の定義を覚えるだけでなく、品質が低いデータを使うと業務上どのような問題が起きるのか、どう改善するのかまで考えることが重要です。
4.科目Bを意識して事例問題に取り組む
科目Bでは業務場面を想定した状況判断が求められます。IPAが公開しているサンプル問題を確認し、長めの文章から状況や課題を読み取る形式に慣れておきましょう。解答を覚えるのではなく「なぜその対応が適切なのか」を説明できる状態を目指すと、実務にもつながる学習になります。
5.先にITパスポート試験の学習に取り組む
ITパスポート試験のシラバスを確認すると、データマネジメント試験の科目Aシラバスと同じ内容が多くあります。例えば、大分類のデータ・AIの利活用もそうですし、データベース、セキュリティ、倫理・法規も分野として同じです。また、それらに紐づく用語例もかなり似通っています。そのため、先にITパスポートを学習(または試験に合格)し知識の土台をつくり、その後これらの知識を復習しつつデータマネジメント試験で問われる分野を深掘りするのも有効な学び方です。
データマネジメント試験に関するよくある質問
Q. データマネジメント試験はいつから始まりますか?
A. 2027年度の夏頃から秋頃に開始予定とされています。正式な開始日や申込方法などは、今後IPAから公表される情報を確認する必要があります。
出典:IPA:「「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」
Q. データマネジメント試験の難易度は?
A. IPAではITパスポート試験の次のステップとして位置づけられています。本試験前のため合格率などの実績はありませんが、科目Bでは業務場面を想定した判断力も問われることから、ITパスポートより実践的な理解が必要になると考えられます。
Q. どのような人が受験対象ですか?
A. 主に、業務でデータを扱うビジネスパーソンが想定されています。営業、マーケティング、企画、管理部門、DX推進担当者など、エンジニアに限らず、データを業務上の判断や改善に活用する立場の人が対象となります。
Q. 出題範囲にはどのような分野がありますか?
A. 重点分野として、データマネジメント、データ分析・データ利活用、AI利活用が含まれています。このほか、データベース、情報セキュリティ、情報倫理・AI倫理、ビジネス関連法規、プライバシー関連法規なども出題範囲に含まれます。
まとめ
データマネジメント試験(仮称)は、2027年度の開始を予定している新しい国家試験です。AI・データ活用が当たり前になる中で、エンジニアだけではなく、ビジネスパーソンがデータを適切に扱い、業務上の意思決定や改善に活用するための知識・技能を評価する試験として位置づけられています。
2026年8月31日にシラバス案Ver.0.1が公開されたことで、学習すべき範囲も具体的に見えてきました。
アイテックでは、データマネジメントを学ぶための研修やITパスポート試験対策の通信教育、書籍、模擬試験などをご用意しています。
※データマネジメント試験対策サービス(書籍、eラーニング、模擬試験など)は2027年3月からの提供開始を予定しています。
